オーストラリア検疫検査局ニュース 2009年 
                                                                    
10月28日2009年 狂牛病発生時から導入した輸入牛肉の規制を緩和 − 連邦政府
  過去10年間、いくつかの国々が狂牛病についての報告書を出しているのを受けて、連邦政府は現在導入している輸入牛肉の規則を緩和する。 この規則緩和は来年3月から実施され、研究の結果「輸入牛肉による健康リスクは非常に低い」とする著名科学者のジョン・マティウス氏を含めた、さまざまな専門家からの意見を聞いて連邦政府は決定した。 
  2001年ヨーロッパの国々で発生した狂牛病と呼ばれる牛海綿状脳症(BSE:Bovine Spongiform Encephalopathy)により、オーストラリアはこの病気が発生したとされる国々からの牛肉の輸入を禁止した。 .連邦政府のトニー・バーク農業相は、ニコラ・ロクソン保健相、サイモン・クリーン貿易相、マーク・ブトラー保健省政務次官との共同声明で、「オーストラリアが狂牛病発生国からの牛肉の輸入を禁止して以来、牛の管理や食品生産のやり方に対して、大きな変化や認識が出てきた」と説明した。 連邦政府はすでに、いくつもの国々から輸入禁止措置を解除する要請を受けてきた。 声明では、「新しい輸入条件では、仮に狂牛病が発生していない国でも、輸出国による狂牛病に対する適切な管理を導入していることの証明が求められる」としている。(Source: LLDCN, 21/10/09 "Federal Government to relax ban on beef imports")
10月14日2009年 輸入クルマエビに対する検査は継続−バイオセキュリティー・オーストラリア

  オーストラリアの検疫統括機関は、輸入クルマエビに対する輸入制限条件を今後も続けたいとしている。 
  オーストラリアに入って来る動植物に関する検査制度とそれを統括するバイオセキュリティー・オーストラリアは、病気の疑いがある国からの生のクルマエビへの検査を今後も続けるように求めている。 2007年に漁業界の陳情により、一時的な検査が導入されたが、最近のバイオセキュリティー・オーストラリアの報告書では、この検査の継続を勧めている。 
  この決定は、漁業界には歓迎されたが、シーフードの輸入業者は激怒している。 シーフード輸入業者協会のノーマン・グラント氏は、「今回の決定に輸入業者が抵抗するのは難しい。 我々は多額の費用を投じて科学的なアドバイスを用意したが、それらは拒否された。 今後の推移を見守るしかない」と話した。 (Source: ABC, 08/10/09 "Prawn import rules set to stay")

10月07日2009年 ミカンキジラミ発生で米産柑橘果実に緊急検疫措置 − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局は、アメリカでのミカンキジラミ(Asian Citrus Psyllid、Diaphorina citri )の発生、蔓延にともない、アメリカ産柑橘類の輸入に緊急措置を発令した。 この緊急措置は、最近カリフォルニアでミカンキジラミが発見され、ほかの地域にも広がっており、発見場所が柑橘類の商業栽培地域に近いことから、輸入されるアメリカ産柑橘類に対して10月2日から適用される。 
  オーストラリアに入ってくる動植物の検査体制やこれを統括するバイオセキュリティー・オーストラリアは、ミカンキジラミはオーストラリアにとって大きなリスクとなると認識しており、侵入を防ぐために検疫措置が必要となるとしている。 
  今回の検疫措置は、生産地と適切なミカンキジラミの処理である。 現在、オーストラリアへの輸出を許可されているカリフォルニアとアリゾナの生産地は、今回の新しい条件でもミカンキジラミ不在地域として認められる。 今後、カリフォルニアとアリゾナからの柑橘果物の出荷には、次のどれかの記述が記載されている植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が添付されなければならない。
* “The fruit in this consignment has been sourced from a place of production which is free of Diaphorina citri”
* “The fruit in this consignment has been subjected to a treatment effective against Diaphorina citri”
(Source: AQIS, 02/10/09, Public Quarantine Alert PQA0636, "Emergency measures applied to imported US Citrus fruit due to the detection and spread of Asian Citrus Psyllid")
09月23日2009年 連邦政府による輸出業者への検疫検査料補助金の廃止を上院議会が否決
  連邦政府は、野党が検疫検査局の料金変更案に反対したため、農業輸出システム計画を中止したと発表した。 
  連邦政府は検疫検査業務にかかわる経費を捻出するために、検疫検査料金の40%に相当する輸出業者への補助金の廃止を行なったが、今回これが上院議会で否決された。 
  トニー・バーク農業相は、「補助金の廃止が否決されたことで1億ドルの資金がなくなり、輸出システムの効率化を目指す改善計画の実行が不可能となった。 野党は検疫検査局の予算の削減を要求しており、それを検討しなければならない」と話した。 
  野党の農業部門のジョン・コブ広報担当は、「連邦政府は輸出業者に経済的な負担を掛けずに、改善が出来るはずである。 野党としては適切な対応である。 連邦政府の計画は、世界各国と競争するオーストラリアの輸出業者をより困難な状態にするものである」と語った。 (Source: ABC, 16/09/09 "Govt to axe quarantine overhaul")
09月02日2009年 中国産牛肉が違法に輸入されたと主張 − 連邦議会野党

  連邦議会野党は、中国産牛肉がオーストラリアに違法に輸入されてたと主張した。 オーストラリア検疫検査局(AQIS)の記録では、今年3月に8,000キロ以上の冷凍牛肉パティーが中国から輸入されているとなっている。 缶詰以外の中国産牛肉のオーストラリアへの輸入は、病気の侵入の懸念があるとして禁止されている。 
  これに対して、AQISは国営放送ABCに宛てた声明書で、「記録にあった牛肉ハンバーグは記載ミスで、実際にはニュージーランド産である」と説明した。 しかし、影の農業大臣ジョン・コブ氏は、「その説明は十分ではない。 まず、その説明は正式なものか? AQISは我々に対して書面で説明していないので、真実は分からない。 そして、その牛肉はすでにオーストラリアに広まって、消費されているのか? なぜその牛肉が中国から輸入されたと記録されていたのか?」と非難した。 (Source: ABC, 01/09/09 "AQIS plays down claim of Chinese frozen beef import")

08月19日2009年 身の回り品の輸入に新しい検査対象リスト − 豪検疫検査局

  オーストラリア検疫検査局は(AQIS)、身の回り品や家財の輸入を多数行なう専門業者(HVSOs-High Volume Specialist Operators)や、それらを扱う検疫検査局認可済み施設に対して、最新の検疫検査対象リストを発表した。 専門業者は、AQISに身の回り品や家財の輸入申請を行なう際には、このリストを参照してなければならない。 リストは下記のウエブサイトからダウンロードが可能。

Items of quarantine concern in personal effects  PDF icon PDF [272kb]

(Source: Australian Quarantine And Inspection Services, Notice to Industry 50/2009,"Items of quarantine concern in personal effects")

08月05日2009年 検疫検査局の人員削減により、バイオセキュリティ・リスクへの懸念

  オーストラリア検疫検査局(AQIS)による人員削減により、オーストラリアのバイオセキュリティーのリスクが高まることに懸念が広まっている。 
  オーストラリアの検疫システムの変更と人員削減が今年度の連邦政府の予算の時に発表された。 しかし、一部の港湾労働者は、AQISの人員削減でバイオセキュリティーのリスクが高まることを懸念している。 人員を削減することは、輸入コンテナーの検査が適切に行なわれないということであるとしている。 
  一方、AQISの広報担当は人員削減は認めたものの、「サービス・レベルへの影響はない。 前環境長官であったロジャー・ビール氏がオーストラリアの検疫体制の見直しを検討した報告書(The Beale Review )が推薦している"Risk-Return Approach"方式 によって行なう」と話した。 "Risk-Return Approach"方式を使用するということは、検疫職員が実際にコンテナーを検査するよりも、問題の発生を予測することにより時間を割り当てることになる。 
  港湾労働者組合のクイーンズランド支部のミック・カー氏は、「港湾貨物ターミナルでの検査が少なくなると聞いている。 ということは、コンテナーが貨物ターミナルを通る時には、検疫職員がいないということであり、これは問題である」と話した。 (Source: ABC, 29/08/09 "Biosecurity concerns about AQIS job cuts")

07月01日2009年 システムに不具合、緊急貨物は特別措置で許可 − 豪検疫検査局
  6月29日にオーストラリア検疫検査局(AQIS)のシステムに不具合が生じ、緊急貨物の検疫許可に関する情報が表示しなくなった。 そのため、地域のAQIS事務所は生鮮航空貨物、生体動物、活魚、植物などの緊急貨物に対して、特別措置において検疫の許可を出すことになった。 なおこの不具合は同日午後6時30分には修復された。 (Source: AFIF, 29/06/09 "AQIS System Outage")
06月17日2009年 カリフォルニア産ブドウの輸入検疫条件の変更 − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、アメリカのカリフォルニア産の食用のブドウに対する輸入検疫条件の変更を即時発効した。 今回の変更により、臭化メチル燻蒸(Methyl Bromide fumigation)処理や箱の中に硫黄パッド(Sulphur pads)を入れる必要がなくなった。 しかし、引き続き燻蒸処理は必要で、二酸化硫黄(Sulphur dioxide)と炭酸ガス(Carbon dioxide gas)の混合により生きた虫の駆除を行なう。 (Source: AQIS, Public Quarantine Alert PQA0617,12/06/09 "Californian tablegrape imports under revised measures")
06月03日2009年 AQISの検疫検査料金の補助金の廃止に怒り − 豪水産業界

  オーストラリアの水産業界は、オーストラリア検疫検査局(AQIS)による検査料金の変更が、水産物輸出業者にとって年間500万ドルの追加の支出になるとしている。 連邦政府は7月1日から、検疫検査料金に対する40%の補助金の廃止を計画しており、これによって水産加工業者が全額支払うことになる。 
  業界団体のCommonwealth Fisheries Associationは、余分に支払うことになる検査料金は、すでに漁獲量の減少、洪水の被害、高い諸経費に苦しむ漁師たちに回されることになるとしているが、クリス・メルハムCEOは、「この検査料金の追加は、連邦政府がAQISとBiosecurity Australiaを統合することを検討していることから、もっと膨らむことになる。 今回の影響は500万ドルと試算しているが、統合後にBiosecurity Australiaにも支払わなければならなくなると、それが1,000万ドルにも1,500万ドルにも膨らんでいくことになる」と指摘した。 (Source: ABC, 01/06/09 "Seafood industry angry about rise in quarantine export fees")

05月13日2009年 豪州発のコンテナーからオオヒキガエルが発見され注意喚起

  最近、オーストラリアから到着した海上貨物コンテナーの中に生きたオオヒキガエル(Cane toad)が発見される事例がいくつか発生し、到着国の港で大きな検疫上の問題となっている。 コンテナーの貨物の内容はさまざまで、到着した国も複数に渡っており、オオヒキガエルがコンテナー内に知らない間に侵入したと思われる。 
  このオオヒキガエルの発見に関しては、海外の港の検疫当局から問題を指摘されており、オーストラリア検疫検査局(AQIS)としては、各国の生態系を尊重し、輸出業者や貨物業者などに対し、貨物をコンテナーに搭載する際には、オオヒキガエルやその他の害虫が極力入らないように注意を喚起している。 (Source: AQIS, Notice to Industry 21/2009 , "Cane Toads found in goods exported from Australia")

05月13日2009年 減収により、輸入申告料金を値上げする方向 − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)の今年度の収支が赤字になる見込みで、今後輸入業者にとって貨物コンテナーの輸入コストが上昇することになる。 今年度の海上貨物の輸入申告件数が前年より30万件少なくなり、AQISの収入が約1,000万ドル減少することから、輸入業者は来年度(2009-10年度)にAQISの料金が引きげられると見ている。 
  業界団体のオースラリア通関業者・貨物業者カウンシル(CBFCA)は、今年の1月からこの問題を取り上げ、AQISが減収の一部を回収するために料金の値上げをすると予想している。 海上貨物輸入申告料を14ドル値上げして、コンテナー1個あたり47ドルにすることを、業界の中でこの数ヶ月間協議されていた。 しかし、貨物業界は、この値上げの提案に対して、連邦政府が黙認していることに批判をしている。  CBFCAのスティーブン・モリス理事は、「この値上げに関して、連邦政府のトニー・バーク農業相と数回協議したが、理解を得てもらえなかった」と話した。  オーストラリア検疫検査局と税関は、輸入申告料金で年間3億2,000万ドルの収入があるとされているが、1,500万ドルの収入減を双方とも吸収することは考えていない。 (Source: LLDCN, 29/04/09 "AQIS tipped to increase import declaration fee")  
05月06日2009年 アフリカ・マイマイについての注意喚起 − 豪検疫検査局
  最近、パプアニューギニアからの航空貨物のコンテナー(ULD)内からアフリカ・マイマイ(GAS: Giant African Snail)の発見件数が増えている。 豪検疫検査局(AQIS)は航空貨物業界や保税倉庫の従業員に対して、アフリカ・マイマイへの注意を促している。 もしアフリカ・マイマイを発見したら触らずに、すぐ検疫検査局に連絡して欲しいとしている。 (Source: AQIS, Public Quarantine Alert PQA0612, "Giant African Snail (GAS) on Air Cargo from Papua New Guinea")
04月29日2009年 マヨネーズの輸入に関する注意喚起 − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局 (AQIS)は、最近正式な許可書を取得せずに卵入りのマヨネーズが輸入される事例が複数回発生し、注意を喚起している。 同局はすべての輸入業者や通関業者に対して、マヨネーズに10%以上の卵が入っている場合は、同局が発行する輸入許可書が必要であることを改めて通知した。 
  輸入業者は、卵を含む商品の輸入に関しては、商品の到着前に輸入許可書を申請しなければならない。 もし、輸入されたマヨネーズが同局の輸入条件を満たしていなければ、所有者の費用負担で再輸出されるか、廃棄処分にされる。 卵の含有量が10%以下の場合は、輸入許可書は必要ないが、製造業者が卵の含有量が10%以下でることを示す証明書が必要である。 (Source: AQIS, Notice to Industry 17/2009 "Importation of mayonnaise to Australia")
03月25日2009年 台湾が豪州産ニンジンの輸入を一時停止−豪検疫検査局

  ニンジンに有害な線虫(Radopholus similis)が付着していないことを証明する追加の書類が必要となり、西オーストラリア州、南オーストラリア州、北部準州のニンジンが台湾に輸出することが出来なくなった。 それらの州には線虫(Radopholus similis)が存在するとされ、この新しい書類が添付されなければ輸出はできない。 これにより、すでに同様の警告がなされているニューサウスウェールズ州とクイーンズランド州とともに3月1日から台湾にはニンジンが輸出できなくなる。 今のところ、ビクトリア州とタスマニア州のニンジンは今回の台湾の輸入基準の変更への影響はない。 (Source: AQIS, 4 March 2009 "Horticulture?Taiwan?Suspension of carrot export trade from Western Australia (WA), South Australia (SA) and Northern Territory (NT)")

03月11日2009年 フィリピン産バナナの輸入を許可 − 豪農林水産省

  オーストラリア農林水産省に属し、オーストラリアに入ってくる動植物に関する検査制度及び、これを統括するバイオセキュリティー・オーストラリア(Biosecurity Australia)が、フィリピン産バナナのオーストラリアへの輸入を認めたことから、オーストラリアのバナナ業界による9年間に及ぶ戦いが終わった。 しかし、バナナ業界は海外から侵入する害虫や病気を懸念している。 
  バイオセキュリティー・オーストラリアのジョン・ウィルソン広報担当は、「これによって、あとはフィリピン側がオーストラリアの輸入検疫条件を満たすかどうかである。 フィリピン側は輸出をする前に、オーストラリアが考慮するために、科学研究所、現場実験、商業試験に基づいたデータや関係書類を提出しなければならない」と説明した。 (Source: ABC, 04/03/09 "Filipino banana imports approved") 

03月04日2009年 ロシアが豪食肉輸出業者18社を締め出し − 豪検疫検査局
  オーストラリア検疫検査局(AQIS)は、オーストラリアの食肉輸出業者18社がロシアの輸入基準を満たしていないとして、ロシアへの輸出を禁止になったことを確認した。 AQISの職員が今週政府上院の委員会に、ロシアが食肉製品の輸入基準を引き上げ、オーストラリアの食肉生産者をロシア市場から追い出そうとしていると報告した。 今回の18社のロシアへの輸出禁止措置は、昨年7月に汚染されたカンガルー肉があったとして、オーストラリアのカンガルー肉生産者を禁止処分にしたことと同様の対応である。 この18社のうち、5社はカンガルー肉の輸出業者で、残りの13社は赤肉の輸出業者である。 AQISは、ロシア当局がサンプル検査をしたところ、バクテリアと細菌が検出され、この18社からの食肉の輸入を禁止したとしている。 近年、ロシア、その周辺の旧東側諸国、中央アジア諸国ではオーストラリア産食肉の需要が高まっている。 (Source: LLDCN, 26/02/09 "Russia beefs up meat standards on Aussie imports")
02月18日2009年 輸出検疫検査料金が大幅に引き上げ − 豪検疫検査局
  連邦政府トニー・バーク農業相が現在の検疫輸出助成金の廃止を承認したことにより、今年7月から食品輸出業者への検疫検査料が値上がりする。 
  園芸産業、穀物産業、酪農業、食肉産業を含む13の業界からなる陳情グループは、事前の検疫検査を義務付けている輸出先国への商品の検疫検査料が40%値上がりすることに懸念を示すとする書簡をバーク農業相に送付している。 オーストラリア園芸輸出業者協会(Australian Horticultural Exporters Association)は、事前の検疫検査を義務付けている輸出先国への一部の商品は、もはや利益が出るような状態ではなくなると話す。 (Source: AFR, 16/02/09 "Exporters hit by quarantine export bill")